保護犬・保護猫

預かりボランティア体験記

第一種動物取扱業の登録に向けて、「保護猫の預かりボランティア」をしたと以前の記事で書きました。今回は預かりボランティアをやってみて実際どうだったのか、感じたことなどを書いていきます。

写真は、預かり前のカモメ。まだ、にくきゅうずで隔離中の頃です。

保護猫の預かりボランティアとは?

保護猫の預かりボランティアは、正式譲渡された後に保護猫と里親さんが一緒に暮らしやすいよう、人慣れなどを目的として行われています。そして時期をみて里親さん候補を募集して、マッチングすれば正式譲渡になるという流れです。テレビ番組でも目にする機会がありますよね。

一般社団法人にくきゅうず(以下、にくきゅうず)で保護されている猫も人に慣れていない子が多いのですが、私がこれまでに預かった2頭は保護当初から抱っこもできるという、かなり人慣れした猫たちでした。

人慣れ以外にもある預かりボランティアのニーズ

「では何で預かりをしたの?」と思われるかもしれませんが、カモメとママにはそれぞれ「他の猫と隔離したい」という事情がありました。

私がにくきゅうず代表に預かりボランティアをやらせて欲しいと相談したところ、候補に上がったのがカモメでした。
カモメは「猫白血病」があり、にくきゅうずの保護施設内では常に隔離されていました。猫白血病や猫エイズ(感染症)などがあると、一緒に暮らす猫たちにも感染が広がってしまうためです。
その状況が可哀想と考えた代表が、自由に暮らせるようにしてあげたいと考えたのです。

カモメの預かりが終了したあと(理由は下記)、次の預かり猫として候補に上がったのがママでした。
ママは「大の猫嫌い」で、保護猫が20頭以上いる施設では常にピリピリと気を張っていました。(犬でも犬嫌いという話を聞きますので、そこまで珍しい話ではないのかも?)。
イライラから他猫と喧嘩したり、追い回すこともしばしば…。里親希望者さんが保護施設に来ても、「この子は難しい」と感じてしまうのか、ママが希望されることはありませんでした。

そんな事情を抱えた2頭でしたが、預かりボランティアをしていく中で変化が見られました。

① カモメの場合

カモメ(♀)
預かり期間(R5年12月~R6年4月)
R5年初春頃の生まれ(詳細不明)

  • もともと他の猫と一緒にTNR予定だったが、捕獲した際に体調が悪そうだったため病院へ。血液検査の結果、猫白血病陽性と判明ししたためリリースせずに保護。
  • あまり物事に動じない、肝が座っている性格。預かり初日からご飯完食、トイレも済ませて猫じゃらしで遊びまわっていた。
  • 保護当時の体調不良が続いていて、服薬と目薬の処置が継続して必要だった。
  • 体重2.6㎏と軽く、筋力が足りないのか、猫らしい上下運動ができなかった。
  • 人に甘えたかと思うと、急に爪で引っかいてきたり噛んできたり。
  • R6年夏に里親さんが見つかり正式譲渡。

預かりでの変化

  • 体調が安定してきて、服薬も目薬も終了となった。
  • 体重も3.6㎏まで増えた結果、筋力がついてキャットウォークに上がったり、上下運動が出来るように。
  • 引っかいたり噛んだりは続いていたが、力の加減をしてくれる時も出てきた。
  • 窓から外を眺めて過ごしたり、気に入った場所でのんびり過ごす時間が増えた。

正式譲渡まで

体力がついてきて動き回るカモメに愛犬オト(7才・メス)が反応してしまい、オトがカモメを組み伏せるようになりました。このままでは危険と判断したため、にくきゅうず代表と相談して、保護施設に戻りました。また隔離状態になりましたが、人がいるときには他の猫と遊んだり、穏やかに暮らしていました。

思い出

今思い返すと、預かり始めはまだ子猫だったのかなという気がしています。
施設に戻って3ヶ月ほどしてから、カモメは同じ猫白血病の先住猫がいる里親さんとのご縁を引き寄せました。保護されたときは弱々しかったカモメ。動画を見せてもらっていたので、回復ぶりには感嘆の思いがあります。
新しいご家族のもと、元気で幸せに暮らしていることが嬉しいです。カモメは小さな体に強い力を秘めていて、自分の運命を切り開いていく力を持った子でした。その力で病気にも打ち勝って欲しいです。

②ママの場合

ママ(♀)
預かり期間(R6年5月~R6年12月)
4歳以上なことは確かだが詳細不明

  • 元野良猫で何度か出産経験あり。
  • 人慣れしていて、抱きかかえて捕獲器に入れることが出来た。 
  • 猫嫌いで保護施設では常にイライラ。他猫と喧嘩したり追い回す等を繰り返す。
  • 他猫を警戒して物音には敏感。
  • 人が居るとずっと膝の上で過ごしたがるほどの人好き。
  • 保護当時は3kg台だった体重が、ストレス食いにより預かり開始時5.7kg。
  • R6年12月、里親さんが見つかり正式譲渡。

預かりでの変化

  • イライラした様子はすぐになくなり、表情が穏やかになった。
  • 猫の鳴き声以外の物音にはあまり反応しなくなった。猫の鳴き声は、テレビの音でもすぐ顔つきが変わっていたので、やはり猫がダメなのは間違いなさそう。
  • 膝の上は好きだけど、気が済んだら自分で終わりにするようになった。日向ぼっこしたりベッドで眠るなど、気ままに過ごすようになった。
  • 体重は4kg台を目指してダイエットをするも、5.2kgと惜しくも届かず(食事の管理と運動…ママも私も頑張りました)。

正式譲渡まで

ママは落ち着いて過ごせるようになり、元からの人好きに加えて、穏やかな性格が見えてくるようになったことで、譲渡に向けて希望が出て来ました。
里親希望者との面会は落ち着いた様子を見てもらえる我が家で行いました。里親希望者さんはママを見た瞬間に「わあ、かわいい」と言ってくださり、その日のうちにトライアルへ。その後、無事に正式譲渡を迎えました。「良い子だね」とご家族全員でママを可愛がってくれる里親さんと巡り会いました。

思い出

ママはとにかく穏やかな子で、私も爪を立てられたことがありませんでした。病院で嫌な肛門腺絞りをされても、鳴いて怒るだけ。夫は「こんな穏やかないい子なんだから必ず家族が見つかる」と常々言っていました。そんなママが引き寄せたのは、ママのように穏やかなご家族でした。
あと、忘れられないのはママの大きな声(笑)。いまでも耳に蘇ることがあります。

まとめ

保護猫たちにとって、里親さんとのマッチングは簡単なことではありません。特に成猫にとっては、限られたチャンスとなります。預かりボランティアは、限られたチャンスを活かす可能性を高めることができるのではないかと考えています。

正式譲渡になるためには、人慣れしているかだけでなく、体調が安定していること、その子本来の性格がわかること、普通の家庭に入ったときの様子が把握できていること。これらの要因も、ご縁に繋がるかどうかに大きく関わってくるのだと感じました。
一度預かった子が新しい家族と出会い幸せになっていくことは、寂しさもありますが、やりがいを感じると同時に喜びでもあります。

私の体験は一例に過ぎませんが、預かりボランティアに興味がある方の参考になれば幸いです。
是非やってみたいとお考えの方は、お住まいの地域の保護団体に連絡をとってみてください。

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